3月8日はエスカレーターの日。1914年3月8日、東京・上野の大正博覧会会場に日本初のエスカレーターが設置され、運転試験が行われたのにちなむ。実は鳥取県内に全国でも有名な「変わり種」がある。現地を訪ねてみた。
■スパイラルエスカレーター(米子しんまち天満屋)
まずは米子しんまち天満屋(米子市西福原2丁目)に2機設置されているスパイラルエスカレーター。直線的に動くエスカレーターとは違って弧を描くように移動する。

「しんまち広場」と名付けられた吹き抜け空間の1階と2階の間に採用されている。上りと下り専用が点対称に配されているのが特徴だ。最上階の5階から吹き抜けの空間を見下ろすと、スパイラルエスカレーターの配置の妙を堪能できる。

創業当時の1990年から稼働しており、山陰両県でスパイラルは米子しんまち天満屋だけだ。
ちなみにスパイラルを製造しているのは三菱電機のみという。バブル期に設置されたエスカレーターの多くは姿を消しており、貴重な存在となっている。

2階や3階にあるエスカレーターは約30秒で上階に到達するが、スパイラルは40秒以上かかる。何となくメリーゴーラウンドのようだ。

福島康之販売促進課長(40)は「スパイラルは天満屋の魅力の一つ。テレビでも紹介され、マニアが来訪する」と話した。
■JR鳥取駅北口の地下通路のエスカレーター下り
もう一つ取り上げるのはJR鳥取駅(鳥取市東品治町)北口の地下通路にある下りのエスカレーター。実は「日本一遅い」とのうわさがある。

設置されて20年以上がたっているという。丸由百貨店の地下1階と駅周辺をつなぎ、約10メートルを約40秒かけて進む。分速に直すと15メートル。一般的なエスカレーターは分速30メートルで進むとされるだけに2分の1の速度だ。
バリアフリー対応で車いすの人も利用できる造りとなっているため、事故が起きやすい下りのみが遅く設定されているという。ちなみに上りは分速20メートルだ。

市から委託を受けて管理する鳥取駅前エスカレーター管理センターの日下部浩二さん(67)は「駅は不特定多数の人が利用する。より安全にエスカレーターを利用してもらうために遅くなったのだろう」と推察する。
(報道部・林李奈)