「歴史は繰り返される」と格言を残したのは古代ローマの歴史家やドイツ哲学者のカール・マルクスなど諸説ある。ともあれ流行や戦争、疫病は確かに数十年周期で繰り返される傾向にある▼日本では高度成長期を経て人々の生活が多様化し、乗用車を保有する世帯も急激に増えた。そんな昭和後期に登場したのが麺類の自動販売機だ。オートパーラー、オートスナックと呼ばれた無人ドライブインが主要道路沿いで繁盛した▼後を追う形で1992年には「焼きおにぎり」「ハンバーガー」「フライドポテト」といった多様な軽食を楽しめる自販機が登場した。当初はランチや残業の夜食向けに企業内で設置が始まり、ドライブインや高速道路のサービスエリアに普及した▼パックの冷凍食品を電子レンジで加熱する仕組み。ただ、中身を供給する大手冷凍食品のニチレイが商品の生産終了を決定した。11年前に機械メーカーが生産を終えたため、故障した自販機から順次撤去が進んだ結果、ついに損益分岐点を下回ったという▼島根県内では浜田市の道の駅「ゆうひパーク浜田」にあった。施設によると、販売不振から1年以上前に撤去したそうだ。夜中に小腹がすけばコンビニエンスストアで事足りる。ただ昨今はコンビニが人手不足となり、コロナ禍で非対面の無人販売が注目されている。商機も循環するようだが、惜しくも間に合わなかった。(釜)