安心して手をあげろ 安心してまちがえや―。
ある中学校の先生が、授業中(じゅぎょうちゅう)に手をあげられない生徒をはげまそうと、詩をつくりました。その詩が絵本「教室はまちがうところだ」になって、今年で20年です。あちこちの小中学校で、新学期などに紹介(しょうかい)され、読みつがれています。
詩を書いたのは、静岡市で先生をしていた蒔田晋治(まきたしんじ)さん(2008年死去)です。「クラスの子に元気がないので、読んでもらおう」と学級新聞につづりました。57年も前のことです。
「まちがうことをおそれちゃいけない」「はじめからうまいこと言えるはずないんだ」。そんな言葉で生徒を勇気づける内容(ないよう)で、他の先生たちも「いい詩だな」と思って少しずつ広がりました。
絵本になって出版(しゅっぱん)されたのは04年です。その中で元気な子どもたちの姿(すがた)を描(えが)いたのは、絵本作家の長谷川知子(はせがわともこ)さんです。20年をふり返って「手をあげられない子の気持ちや可能性(かのうせい)にも、蒔田先生の詩は、しっかり目を向けてくれている。だから読まれ続けているのかもしれません」と話します。出版社は絵本が売り切れそうになるたびに印刷。その回数は37回になりました。















