墓石にカエル
墓石にカエル

 意外な組み合わせのようで、実はしっくりきているようにも見えた。先日、1カ月ぶりに墓参りに行った際のこと。線香に火をともしていると突然、母親が「あれ」と指さした▼見ると墓石の一部が緑色になっていた。「墓」の文字の「くさかんむり」の「とめ」の部分。小さなアマガエルが身を潜めるように、すっぽり収まっていた。ここなら外敵に襲われる心配もなく、激しい風雨もしのぐことができるだろう。ことわざにするなら「墓石にカエル」。「この前もいた」という母親の言葉を聞きつつ、愛らしい姿をスマホで撮影した▼後日、写真を見直していると、この様子が何かに似ていることに気付いた。自民党の裏金づくりに関わりながら国会での弁明を拒んでいる議員たち。衆参両院で実に73人に及ぶ。墓石のカエルのようにじっと身を潜め、嵐が去るのを待っているかのようだ▼両院の政治倫理審査会が全会一致の議決で出席を求めているものの、強制力がなく誰も応じようとしていない。「蛇ににらまれたカエル」のように体がすくんでしまったわけではない。誰か一人が出席すれば、他の議員が批判にさらされるという内向きの理由からなのだろう。「カエルの面に水」ということわざがぴったりか。それでは国民の信頼は取り戻せまい▼ちなみに撮影したカエルの写真はきょうの本紙「読者ふれあいページ」で紹介している。ぜひご覧を。(健)