「またか」と笑われそうだが先日(9日付)に続き、今年の干(え)支(と)にまつわる「龍」の話から。と言っても今回の主役は、浜田市出身でパリ五輪日本代表に決まった陸上男子3000メートル障害の三浦龍司選手(22)ではなく、幕末の土佐藩士・坂本龍馬▼高知県は、香美市出身で人気アニメ『アンパンマン』の作者・やなせたかしさん(1919~2013年)、昨年の朝ドラ『らんまん』のモデルになった佐川町出身の植物学者・牧野富太郎博士(1862~1957年)をはじめ偉人の宝庫。その中でも知名度と人気は龍馬が断然トップだろう▼先週、会合で高知市に出張した。台座を含めた高さが13・5メートルの龍馬像が立つ景勝地・桂浜に向かうまでもなく、JR高知駅を降り立つと、同じ幕末の志士・中岡慎太郎、武市半平太と並んだ像が迎えてくれた▼7年前、そんな高知のヒーローが教科書から消えそうになる危機があった。大学と高校の教員でつくる研究会が、日本史の教科書に登場する歴史用語を精選すべきだと提言。削除候補に龍馬を入れたものの、県知事の反対表明もあり、事なきを得た。県民が龍馬を敬愛している証しだろう▼会合の後、市内にある記念館を訪ねた。龍馬の手紙や関連資料が展示される中、龍馬の筆跡をシールにして貼り合わせる名刺作りコーナーを見つけた。今年で没後157年。高知では龍馬は今も、龍の如(ごと)く大忙しのようだ。(健)