「七転八起」。将棋の全八冠を保持した藤井聡太叡王(21)が叡王戦5番勝負で敗れて、七冠に後退した翌日、地元・愛知県瀬戸市の商店街には、この四字熟語を印刷した紙が張られていた。
「七転するほど大変なことにはなっていないが、また八冠を目指して頑張ってほしい、という意味を込めた」と商店主。四字熟語を創作すると、七転八起ならぬ〝八転七冠〟(八冠から転落し七冠に)か。
凡人なら落ち込みそうだが、そこは天才棋士。「(失冠は)時間の問題だと思っていた。そのことは気にせずに、これからも頑張っていきたい」と気持ちを切り替えると、続く棋聖戦5番勝負を制して5連覇を達成。最年少で「永世称号」の資格を得た。
きょう7月8日は数字の語呂合わせで「七転八起の日」。熊本県のPRマスコットキャラクター「くまモン」の起き上がりこぼしなどを販売する同県阿蘇市の会社が、2016年4月に発生した熊本地震からの復興の思いを込めて翌年申請し、登録された。
復興が待たれるのは、こちらも同じだ。発生から半年が過ぎた能登半島地震の被災地では、生活再建が進まない現状へのいら立ちや焦りの声が聞かれる。ここは政府の出番。石川県輪島市に設置した早期復興を支援する拠点「能登創造的復興タスクフォース」のフル稼働が必要だ。人生は七転び八起き。藤井七冠のように気持ちを切り替え、前を向くしかない。(健)