記録的大雨で県道が崩落し、孤立状態になった出雲市大社町日御碕地区で喫緊の課題の一つが、ガソリンの運搬だ。安全性を守るため、消防法で厳しい規制がかかっており、個人で運べる量には限界がある。地区内を車で移動する住民は多く、長期化すれば生活への影響は避けられない。

 道路の崩落で車は通れないが、現場付近の私有地を歩いて迂回(うかい)し、地区に入るルートはある。孤立から3日が経過した12日午後、市職員が迂回路を抜けた先の日御碕地区側の県道で、携行缶に入ったガソリンをコミュニティセンター職員に手渡した。使用をコミセンや消防団など公共車両に限った緊急的な対応だった。

 ガソリンは引火点がマイナス40度と低く、極めて引火しやすい。穴やくぼみにたまりやすく、離れたライターの火や静電気などで引火する恐れがあり、貯蔵や取り扱い、運搬方法が消防法で規定されている。

 災害を受け、住民からはガソリンの確保を求める声が多く上がる。集落から迂回路までは約4キロ。通勤や食料などの買い出しで、迂回路まで車で移動する住民は少なくない。確保の見通しが立たない中で、コミセンは「なるべく節約を」と呼びかけている。

 地区内で暮らす住民も心配している。...