うだるような連日の暑さで、エアコン頼みの生活が続いている。取材先を訪ねると、一気に汗が引くほどキンキンに冷えた部屋があれば、ぬるいと感じることも。快適な温度設定とは難しい▼省エネのためエアコンは28度が目安と思い込んでいたが、これは設定温度ではなく、室内温度だと最近知った。外気温が過去最高を記録し、熱中症対策が必要とされる中で温度設定は柔軟にということだろう▼エアコンの温度を下げたくなるのは、テレビ観戦に熱狂しているせいもあろう。パリ五輪が始まり、熱い戦いから目が離せない。序盤はメダル獲得の歓喜の一方、まさかの敗退も相次いだ。大舞台に懸ける思いと積み重ねた努力、日の丸を背負う重圧を考えると、五輪に棲(す)む魔物の仕業と片付けるのはあまりに酷な気がする▼柔道男子60キロ級の永山竜樹選手は不可解な判定負けからはい上がり、銅メダルをもぎとった。3位決定戦を終え「手ぶらで帰るわけにはいかなかった。気力だけで戦った」と声を詰まらせた。「自分の隙が生んだ負けだった」とも。戦う気持ちを切らさずに支えたものは何だったろう▼これだから勝敗が分かっても、試合後に選手が絞り出す言葉を聞くまではテレビを消せない。エアコンを効かせ過ぎて体が冷え切り、寝不足ともあれば、翌日の暑さがまた身にこたえる。分かってはいるけれど、ああ今夜もなかなか寝られそうにない。(史)