「球跡巡り」に掲載されている松江市営球場の紹介文
「球跡巡り」に掲載されている松江市営球場の紹介文

 高校野球の聖地でプロ野球阪神の本拠地・甲子園球場(兵庫県西宮市)が開場100年の節目を迎えた。昨年完成した日本ハムのエスコンフィールド北海道(北海道北広島市)のような買い物やレジャーも楽しめるボールパークも楽しめそうだが、昔ながらの球場は味わい深い▼日本野球機構(NPB)の公式記録員山本勉さんの著書『球跡巡り-球史を刻んだ球場跡地を歩く』によると、一昨年までの86年に及ぶプロ野球の歴史で、公式戦で使われた球場は全国289カ所。うち113カ所が閉鎖されているという▼その中に興味深い記述を見つけた。バスケットボールB1島根スサノオマジックの本拠地・松江市総合体育館がある市北公園の一角に、市営球場があったという。開場は1932(昭和7)年7月。公式戦中にもかかわらず40年10月、巨人対阪急(現オリックス)のオープン戦が行われた。これが山陰初のプロ野球だった▼前日、西宮球場(西宮市)で戦った両チームの選手は夜行列車に揺られ松江駅に到着。参加選手は計28人と少なかったが、スタンドは満員の観衆で埋まったという。さぞや待ち望んでいたことだろう▼先日の本紙に、島根県が県立浜山公園野球場(出雲市大社町)を改修し、外野グラウンドを拡張するという記事が載った。プロ野球誘致の声が高まりそうだ。山陰での公式戦は2014年が最後。久々に一流のプレーを身近で見たい。(健)