薬をよく飲む方ではなかったが、たまに頭痛が出ると使うようになった。以前は効果があった自己マッサージも効かなくなり、痛みに耐えかねた。ただ、使い過ぎは控えるつもりだ▼痛み止めは効くものだなと感じていたところ、「プラシーボ(プラセボ)効果」という言葉を聞いた。偽薬効果ともいい、有効成分が含まれていなくても本物と信じ込むことで、精神的、身体的に効果が見られる現象のことだ。そういえば、若い頃に熱が出て、ある炭酸飲料を多めに飲んだら下がった。それ以降、発熱時に何度か続けたことを思い出した▼「鰯(いわし)の頭も信心から」。信じる力が物事の結果を変えるのか。いい意味の思い込みはプラスに作用することがあるのだろう。プラシーボ効果はビジネスでも応用され、指導する時の話し方で意識高揚、やる気アップにもつなげられるそうだ▼信じる力はスポーツでも重要な要素だろう。各競技で熱戦が続くパリ五輪。アスリートが自分のやってきたことへの自信を胸に試合に臨み、ベストを尽くす。今大会の日本選手団第1号の金メダルを手にした柔道女子48キロ級の角田夏実選手は「最後まで自分を信じて闘おうと思った」と振り返った▼自分を信じることの根底には、大会まで続けてきた努力という偽りのない「有効成分」がある。やはり普段の行いが大事なのだ。自らを省みて、まず健康意識を高める必要がありそうだ。(彦)