さそり座。矢印の鉄塔(てっとう)を目印とし、その真上にアンタレスが見えている=6月29日、出雲(いずも)市芦渡(あしわた)町で撮影(さつえい)
さそり座。矢印の鉄塔(てっとう)を目印とし、その真上にアンタレスが見えている=6月29日、出雲(いずも)市芦渡(あしわた)町で撮影(さつえい)

ほんの少しずつ西へ移動

 ある夜に星空を見て、1日後の同じ時刻(じこく)にまた見ても、出ている星座(せいざ)とその位置は変わりません。それは、星も、太陽や月と同じように東から西に向かって動き、一日経(た)つと一周してだいたい元の位置に戻(もど)ってくるからです。その動きを、さそり座(ざ)のアンタレスという星を使って詳(くわ)しく調べてみましょう。

 アンタレスは赤くて明るく、7月後半の山陰(さんいん)地方なら、午後8時半から9時ごろに南の空の低いところで目立っています。遠くにある山や建物などを目印(めじるし)にして、アンタレスがその真上に差しかかった時刻を記録します。それが午後9時ちょうどだったとしましょう。

 次の夜、まったく同じ場所でアンタレスを見ていると、目印の上にやって来るのは8時56分です。つまり、星が空を一周して元の位置に戻るのは、正確(せいかく)には1日ではなく、23時間56分なのです。4分後の9時には、アンタレスはほんの少しだけ目印から西に移動(いどう)します。

 引き続き毎晩(まいばん)9時にアンタレスを見れば、そのずれが積み重なり、10日もすると目印より西、つまり右側に明らかに離(はな)れいるのが分かります。

 このように、同じ時刻に見ると、星は毎日少しずつ西へ動いていきます。ですから、季節が変われば、空に見える星座も入れ替(か)わるのです。そして、ちょうど1年で元に戻ります。これは、地球が太陽の周りを1年で一回りしていることの表れでもあります。

 今、見ごろのアンタレス。一日のわずかな違(ちが)いは分かりにくいので、数日間、同じ時刻に見てみてください。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)