鳥取県民の視点からすれば、先に言われてしまったという印象だ。鳥取県西部と島根県東部での新型コロナウイルス感染急拡大を受け、島根県は県民に向け、鳥取県民との飲食や鳥取県西部への往来を控えるよう呼び掛けた▼時に盟友、時にライバルという鳥取と島根の微妙な関係。鳥取も時には島根を意識し、競うような態度を昔から取ってきた。米子、出雲両空港へのソウル便誘致を巡る綱引きしかり。島根原発を巡って、立地自治体の島根県や松江市と同等の発言権を求める態度しかり▼根底にはわが県、県民の利益優先の発想がある。古代中国の弱小国が時に強国・秦と結び付いて別の弱小国を攻め、時には徒党を組んで秦に対抗した合従連衡政策を思わせ、興味深い。ともに弱小県で、隣り合う間柄。相手を意識するのは自然とも言える▼さらに、何となく「山陰は一つ」という気持ちが湧くのは、両県を放送エリアとする民放テレビ局の影響もあるだろう。特に頭に刷り込まれるのがCM。鳥取市出身の筆者は子どもの頃、松江市のカメラ店の「いかこい」(行こう、という意味の出雲弁)というフレーズが気になって仕方なく「1回来い」の意味かと思っていた▼地方新聞社はテレビ局と違い、両県制覇の状態とは言い難い。それでも、両県の微妙な関係を報じ、政策を対比させることで両県民のより良い暮らしの一助になればいいと願う。(志)