先日、鳥取県内の山陰自動車道を西へ進んでいた際のこと。スムーズだった車の流れが突然滞った▼「さては事故か」。5分余り徐行で進むと、予想は的中。ただ、事故が起きていたのは対向車線。中央線からのはみ出し事故を防ぐワイヤロープ式防護柵に乗用車が突っ込んで前方が大破し、破片がこちら側まで飛び散っていた。幸い運転手の命に別条はなかったようだが、現場は見通しのいい直線道路。居眠りか脇見運転でもしていたのか▼その3日後、同じ場所を通行すると「ワイヤロープ衝突事故多発!事故する前に休憩を!!」という文字が電光掲示板に映し出されているのを見つけた。確かにその周辺でもワイヤロープのポールが折れていたり、ワイヤがゆがんで破損したりした場所を多く見かける。もしワイヤロープがなければ対向車線に突っ込んで大事故につながると思うと、ぞっとする▼山陰両県の高速道路の暫定2車線区間(約338キロ)のうち、約125キロでワイヤロープが設置されている。官民で組織する「山陰両県高速道路安心安全強化推進協議会」が8年前、両県民による署名簿を添えて国土交通省に設置を要望し、実現した。わずか1カ月で集まった署名は3万5千人分。暫定2車線での走行に多くの県民が危機感を抱いていた表れだ▼ワイヤロープはまさに「高速道路の命綱」。極力お世話にならないよう、安全運転を心がけたい。(健)