物価高騰で学校制服が値上がりして保護者の負担が増す中、リユース制服に注目が集まっている。状態によって定価より3~5割程度安く手に入るため、山陰両県でもニーズが高まり、取り扱う店舗では在庫が足りない状況も出てきている。
次女(6)が今春の小学校入学を控える松江市東出雲町の会社員女性(41)は、4年生になる長女(9)の制服を新調し、次女はお下がりにする予定にしている。
制服一式は約3万円で、学用品やランドセルと合わせて、入学準備に15万円近くかかる。「小学校は6年間あり、次女が長女より大きくなれば3着目が必要になる」とこぼす。
菅公学生服(岡山市)の調査では、全国の小学校の制服導入率26・6%に対し、中四国地方は77・9%と高い。松江市では2023年8月時点で義務教育学校を含む34校中18校が制服で16校は私服。PTAが譲渡会を開く学校もあるが、入学時の負担が大きくなりがちな土地柄といえる。
数万円の出費となる制服をなるべく安く購入するのに活用されているのが、学校用品のリユース店。「うさや」(松江市袖師町)は、クリーニング済みの制服3千点以上が並ぶ。
25年度に入学する高校生の制服は、県立高校で自己推薦型入試が始まった影響で、リユース品を求める動きが早まっており、2月以降、休日は10組ほどが来店するという。
うさやは県立高校の一般入試の合格発表がある14日から3日間、大輪子どもハウス(松江市大輪町)で販売会を開く。事前予約制で、外谷裕恵代表は「新品は数千円値上がりしている」と話し、「状態がいいものから売れていく。早めに来店してほしい」と呼びかける。
鳥取県内の保育園から高校までの制服などを扱う「LINK-SHOP(リンク・ショップ)」(鳥取市桂木)の倉田衣美代表は「サイズによってはないものも出てきている」と需要の高まりを実感している。
デザイン統一・購入任意化 学校側も負担軽減模索
山陰両県ではリユースショップ以外にも、保護者の負担を減らそうと、親戚やきょうだいで融通しやすいように複数の学校でデザインを統一したり、購入を求めなかったりする動きが出ている。
鳥取県大山町は2024年度入学から、町内全3中学校の制服を統一した。ジェンダーレスで性別にかかわらずスカートかズボンを自由に選択でき、リボンとネクタイで各校の個性を出すような仕様にした。
町教育委員会によると、保護者からは廃止を求める意見もあったという。しかし、制服は学校外でも一目で中学生と分かるため、防犯面からも継続を決めた。
幼児・学校教育課の浦木美穂参事は「統一することで、町内の親戚にも融通しやすい。市販の白シャツを着てもいいようにしたので、家計の負担減になるといい」と期待する。
児童が制服で通学し、校内で体操服に着替えていた益田市立吉田小学校(益田市中吉田町)はコロナ禍を機に、体操服での通学に切り替えた。着る機会が入学式や卒業式などに限られる制服は、25年度の新入生から購入を求めないことにした。
始業式など節目の行事は体操服、入学・卒業式は「儀式にふさわしい服装」に変更する。これまでの制服も着用できる仕組みにし、保護者のニーズもあることから、10年以上続いているPTAのリユース事業は継続するという。
同校の坂根大雅主幹教諭は「一から制服をそろえ、何回か買い直すには保護者の負担は大きく、式典用に新たに用意するのも負担になる。二つの負担減を考慮した」と説明した。
(森みずき)