「ホウレンソウ」と聞いて、『ポパイ』を連想するのは50代以上だろうか。ホウレンソウを食べると超人的パワーを発揮する、セーラー服姿の小男ポパイが主人公の米国漫画。日本では1959年に初めてテレビ放送され、茶の間の人気者になった。
その30年前、米国の新聞で連載されていた漫画に初登場した際は、意外にも脇役だったという。何をやっても不死身なところが受けて、主役に“昇進”。子どもの野菜嫌いの克服にも力を発揮した。
時は流れ、昨今の「ホウレンソウ」はビジネス用語として定着する。組織内のコミュニケーションに重要な「報告」「連絡」「相談」の三つの頭文字を合わせて「報連相(ほうれんそう)」。上司と部下、そして仲間が一つのチームとなって円滑に業務を進めるために欠かせない行動だ。
「報連相」には苦い思い出がある。三十数年前の駆け出し記者時代、交通事故の一報を受け、先輩記者に伝えて山間部の現場に向かった。到着すると登校途中の小学生3人が車にはねられる大惨事。学校や自宅を1人で回り取材したが、「なぜ途中で連絡しなかった」と先輩から叱責(しっせき)された。当時は携帯電話がなかった時代。2人がかりなら、もっと手厚い取材ができていた。
きょうは4月1日。山陰両県の企業でも入社式に臨む若者が多いだろう。最初は失敗はつきものだ。脇役でも実力を蓄え、いずれ主役になればいい。頑張れ!新社会人。(健)