テキサスオープンゴルフ第1ラウンドでバンカーショットを放つ松山英樹選手=3日、TPCサンアントニオ(共同)
テキサスオープンゴルフ第1ラウンドでバンカーショットを放つ松山英樹選手=3日、TPCサンアントニオ(共同)

 新社会人がスタートする季節が訪れた。もはや歳時記の一つとなっている大手銀行の入行式では、女性の新入行員がきりっとした表情でテレビのインタビューに答え、「人の役に立つバンカーになりたい」と抱負を披露していた。

 それを見て思い出したのは10年ほど前のことだ。地方銀行の役員になった同級生に「これで立派なバンカーだな」と声をかけた時、彼いわく「バンカーではなく、バンククラークだよ」。

 その時初めて知ったのだが、クラークは事務官とか事務員の意味で、バンクにつなげるとお金を扱う銀行員の意味。バンカーは経営全体と大口顧客を担当する経営陣を表す言葉で、アメリカのスラング(俗語)では「賭博の胴元」の意味まであるらしい。

 だとすれば、人の役に立つバンカーになるとは、企業や地域を支える大きな仕事に携わりたいという志の表明とも取れる。地方の金融機関に今一番求められる仕事だ。一方、同級生も当時の石橋をたたいて渡る金融機関の姿勢としては、そこそこ妥当な説明だったと、今となったら思われる。

 話は飛ぶが、ゴルフ場のバンカーは穴を掘ってつくった砂場で、ボールが入ると苦労する障害物。だが、ごくまれに「技と度胸が試される」とバンカーで張り切る人がいる。その心境にはいまだ達せてはいないが、新社会人の皆さん、「技と度胸と志」は、ピンチの時に何かと助けになるのは確かです。(裕)