薬局だった空き店舗を活用したカフェと雑貨の複合店舗「みっくす」を拠点に商店街のにぎわいを生み出す亀井智子さん=米子市日野町、元町通り商店街
薬局だった空き店舗を活用したカフェと雑貨の複合店舗「みっくす」を拠点に商店街のにぎわいを生み出す亀井智子さん=米子市日野町、元町通り商店街

 移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々-。総務省のホームページにある「関係人口」の定義だ。

 地域で高齢化、人口減少が進む中、持続の鍵は域外とのつながりが握る。接点をつくり、ファンを増やし、輪を広げる。国も認める課題解決策として期待はある。ただ、定住人口はどうなったか。言葉をすり替え、目的化していないか。行政施策で使われる関係人口という言葉には、実は違和感がずっとある。加えて、近頃あることに気付いた。

 米子市中心部の元町通り商店街に、若者の「集いの場」となっているカフェと雑貨の複合店舗がある。元薬局を改装し、3年前にオープン。この春、高校生向けのビジネスプラン作成講座が開かれた。「学びの場」として部活動感覚でカフェの新メニューなどを考えてもらう構想の一環だ。

 店のオーナーは、2軒隣でデザイン事務所を経営する亀井智子さん(39)。高校時代、ワクワクして足を運ぶ「放課後の集合場所」だった商店街は空き店舗が増えた。その商店街の理事を務める今、にぎわい創出は一朝一夕にいかないが、思いを一つ一つ形にし、新たな価値を加え、人を呼び、人をつないでいる。

 こんな身近な「関係人口」もある。行政任せでも、どこか遠くの人任せでもない。一人一人が地域の維持、活力づくりの当事者なのだ、とハッとした。(吉)