一時1ドル=143円台を付けた円相場を示すモニター=4月24日午前、東京都港区の外為どっとコム
一時1ドル=143円台を付けた円相場を示すモニター=4月24日午前、東京都港区の外為どっとコム

 大型連休も最終日、海外旅行に行った人の感想で目立つのが「何しろホテルやレストランが高かった」。1ドル=100円前後の海外旅行を知る世代としては実感が湧かない。かつて日本の円は強く、行く先々で財布にやさしい旅ができたからだ。

 1991年、取材のためアメリカに出張した時、マクドナルドのビッグマックは約2ドル。当時の為替レートは1ドル=134円だったが、日々円高が進行中で、バンズ(パン)から豪快に肉がはみ出た現地のマックは、200円ちょっとで食べられる感覚だった。

 同じ年、日本国内のビッグマックは380円だったので日本の半額ほどだ。現在、アメリカのビッグマックは5ドル69セントで、日本円にすると830円。一方、日本は480円。逆転どころか、アメリカで食べると日本の2倍近い出費になる。

 国の経済力をビッグマックの価格を物差しに測ることがあるが、それが端的に表すのは、日本の円が極端に弱くなったということ。「同じものなら安くてラッキー」とばかり言ってはいられない。デフレ経済に慣れ過ぎると「ドル建てで世界経済が動いている」ことを忘れがちだ。

 石油も穀物もドル決済なので、国際市場で円が弱くなると輸入が困難になるからだ。トランプ関税交渉でドル円の為替問題も議題になり「かけた」が、輸出企業には好都合とはいえ「弱い円」をいつまでも放置してよいか、考え時でもある。(裕)