自民党本部で開かれた全国幹事長会議。参院幹部は合区解消を「参院における最重要課題」と位置付けた=3月8日、東京・永田町
自民党本部で開かれた全国幹事長会議。参院幹部は合区解消を「参院における最重要課題」と位置付けた=3月8日、東京・永田町

 参院選「鳥取・島根」、「徳島・高知」選挙区での合区導入が決まって今年で10年。一向に解消しない問題の現状を整理して課題を追う企画「ほころびと停滞」を先月下旬に本紙で連載した

 これまでの動きを振り返ると、政治状況や国会議員の顔触れが、導入時から大きく変わり、合区対象県が抱く無念やジレンマへの理解が薄れているようで歯がゆい。

 その一つが比例代表の特定枠制度。候補が政策を直接訴えることができないなど選挙活動が制限される。昨年10月の衆院選で大敗した自民党内では、同じ候補が特定枠を使い続けることへの反発が強まった。合区で候補が出せない県の候補に充てるとはいえ、今後対象県が増えると、さらに混乱する可能性がある。「弥縫(びほう)策」を重ねた結果の制度は限界に近いだろう。

 2015年に公職選挙法が改正され、合区導入が決まった際の経緯も忘れてはならない。旧民主党や与党・公明党は「20県10合区」を主張。その案に含まれた選挙区のある自民議員が述べた「あのままいくと20県10合区だった。結果的に4県だけにひどい、ふざけたことを受け入れてもらった」との言葉が耳に残る。

 夏の参院選や来春発表を控える国勢調査の結果次第では、合区の拡大が現実味を帯びる。きょうは語呂合わせで「5(ごー)9(く)の日」と読める。改めて合区問題を考え、解消への機運を高める契機とならないだろうか。(吏)