石見銀山遺跡周辺の沿道でごみを拾うボランティア=2023年10月、大田市大森町
石見銀山遺跡周辺の沿道でごみを拾うボランティア=2023年10月、大田市大森町

 小学生の頃、夏休み恒例の子ども会行事の一つに地域のごみ拾いがあった。道路を歩きながら空き缶などを拾う。まだペットボトルはなかった。夏草をかき分け、溝の中を探し、さびた缶も拾う。「大人が捨てたのに、何で子どもが拾わんといけんの?」。正直、そんな思いを抱いた。

 車を運転していて、道端に落ちているごみは当時に比べて減ったように感じる。ただ、都市部の高速道路のインターチェンジ周辺ではひどい所があった。レジ袋に入ったごみやペットボトルが散乱。旅気分が台無しになった。

 環境省が行った2023年度の全国市区町村への調査によると、ポイ捨てが多い場所は「山道・山林」「幹線道路」「河川・用水路」が上位。人目につかない所、見られていないタイミングで「ポイッ」なのだ。一方で、回収方法は「ボランティア」がトップだそうだ。不法投棄された物を「善意」で回収する。そんな状況がずっと続いている。

 市区町村の約6割がポイ捨てを規制する条例を制定しているが、なくなってはいない。監視や取り締まりの難しさもある。近年はオーバーツーリズムに伴うごみの増加も周辺住民たちを悩ませる。

 スポーツの国際大会で、試合後に会場のごみを拾う行動が称賛されたのは日本人。生活に身近な所にごみを捨て、情けなくなるような光景をつくりだすのも日本人。どちらが本当の顔かと考えてしまう夏である。(彦)