水木しげるは境港で伸び伸びと育ち、周囲に愛された。戦争中はその正反対だった。

 水木の長女・原口尚子(62)は「軍隊はおろか人間すら信じられなくなっていったでしょう」と語る。自らも死の淵にあり、寝食を共にした戦友も翌日にはいとも簡単に死んだ。「悲しんだりする...