参院選の公示日、第一声を上げる自民党総裁の石破茂首相=7月3日午前、神戸市
参院選の公示日、第一声を上げる自民党総裁の石破茂首相=7月3日午前、神戸市

 日本人の人口が前年より約90万8千人減った。1968年の人口動態調査開始以降、減少数が90万人を超えたのは初。秋田県の人口が丸ごといなくなるのとほぼ同数で衝撃は大きい。

 2020年の日本人減少者数は鳥取県の人口にも満たない約50万5千人だったが、減少幅は5年間で40万人も増えた。深刻な少子化や東京一極集中を背景に、地方の人口減少が加速していることは改めて数字が物語る。25年は東京を除く46道府県で減り、減少数は島根で20年の6783人から8902人、鳥取で同5250人から6700人に拡大した。

 石破茂首相も今夏の参院選で全国を遊説する際、しばしば危機感をにじませた。7月3日の神戸市の第一声では「1年間に90万人近い人口が減っている。鳥取や島根の話だと思ってはいけない。兵庫だって3万人減っている」と声を張り上げた。

 ただ物価高対策にかすみ、参院選で人口減少対策の議論が活発だったとは言い難い。首相は続投方針を堅持するが、参院選大敗後の政局は不透明さを増し、看板政策「地方創生2・0」に道筋を付けられるかどうかも心もとない。

 一方、外国人人口は増加の一途をたどる。20年から5年間で佐賀県より少し多い81万人増えた。参院選で「日本人ファースト」を掲げた参政党が台頭したとはいえ、社会の活力を維持するために外国人の存在が不可欠だ。分断より共生の道を探りたい。(吏)