安来市の伊藤徹副市長(手前)に回答文書を手渡す中電島根原子力本部の北野立夫本部長=松江市殿町、市町村振興センター
安来市の伊藤徹副市長(手前)に回答文書を手渡す中電島根原子力本部の北野立夫本部長=松江市殿町、市町村振興センター

 中国電力は24日、島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の30キロ圏内にある出雲、安来、雲南の3市に対し、再稼働の是非を判断できる「事前了解」の権限を認めない代わりに、島根県に意見を直接表明できる会議を設けることを提案した。3市は一定の理解を示しつつ、立地自治体並みの安全協定の締結を重ねて求めた。
 松江市内で中電島根原子力本部の北野立夫本部長と長谷川千晃副本部長が3市の副市長と面会。周辺自治体の意見を丁寧に聞く仕組みとして、従来は書面でやりとりしていた意見照会を、知事と3市長による会議での聴取に切り替える方法を提案した。
 中電の協力要請に応じ、会議の設置を進言した県の奈良省吾防災部長も同席し「全ての要望に100%応えることは難しいかもしれないが、きちんと意見を聞いていく」と強調した。
 3市の副市長は「最低限の評価はする」(安来市の伊藤徹副市長)などと話し、それぞれ提案内容を持ち帰って協議するとした。
 中電は11日、3市に事前了解権を認めない方針を伝達。不服とする3市の反発を受け、対応を再検討していた。今回の提案は県と3市が2013年に交わした覚書に基づくもので、中電が3市と結ぶ安全協定の見直しは伴わない。
 取材に対し、北野本部長は「今回は最大限に踏み込んだ。さらに次へ、というのは難しい」と述べ、安全協定の改定に否定的な認識を示した。 (高見維吹)