米子が熱い。東京五輪のボクシング女子フェザー級を制した入江聖奈選手(20)=米子西高出身=は、高校3年時に取材した際の「東京で金メダルを取る」という宣言通りの大活躍。伊木隆司市長のミットめがけて打ち込んだパンチの鋭い音と筋肉質な二の腕を思い出す▼東京五輪には入江選手だけでなく、競泳、ボート、飛び込みに米子出身の3選手が出場。一昨日開幕した東京パラリンピックには安野祐平選手(31)が陸上男子100メートル(脳性まひT33=車いす)に登場する▼パラリンピックは、下半身まひを意味する「パラプレジア」とオリンピックとを掛け合わせた造語。1964年の東京大会で愛称となり、その後正式名称となった。現在は並行を意味する「パラレル」に由来し、「もう一つのオリンピック」と解釈される▼米子には、パラリンピックの熱戦に負けない熱い大会がある。障害者の鉄人を決める「全日本チャレンジドアクアスロン皆生大会」。日本のトライアスロン発祥の地で、全国から集まった選手が水泳とランニング競技に挑む。真剣にゴールを目指す選手の横でボランティアの大声援が響く。大会に関わる誰もがスポーツを通じて一つになる瞬間だ▼インクルーシブ(分け隔てのない)、ダイバーシティー(多様性)など難しい片仮名が並ぶが、「一緒にやらいや」の米子弁でいい。目指す社会の手本はきっと私たちの身近にある。(目)