北海道帯広市で宅配会社を営む長原和宣さん(53)が今月上旬、浜田市旭町の刑務所・島根あさひ社会復帰促進センターを訪れた。同センターは、受刑者たちが職業訓練や資格取得といった出所後を見据えたプログラムを受けるのが特徴。以前は都会地の外食産業などから求人が来ていたが、コロナ禍で求人だけでなく、面接も少なくなったという▼長原さんは受刑者1人の採用内定を決めた。「前科者は本当に信頼できる。真面目に頑張る姿勢が、かわいくて仕方がない」と笑顔を見せる。出所者の雇用は社会貢献だけではない。過去を克服して前向きに生きる姿に「毎日、感動をもらっている。それは自分のためにもなる」と力を込める▼長原さん自身も過去がある。既に妻子があり、社会人として活躍していた30代前半に重度の薬物中毒に陥った。覚醒剤は何度断ち切ろうとしても繰り返す。最後は幻覚と幻聴に追い回されて交通事故を起こし、警察に覚醒剤取締法違反で逮捕された。懲役1年3月の判決を受けたが、執行猶予で刑務所には行かなかった▼心を入れ替え、ローンで買った車1台で配送の仕事を始めた。20年がたち社員30人ほどの会社に成長。うち6人は元受刑者が汗を流しているという▼「一人一人の人生を変えることを追求していく」。雇用者と被雇用者が過去を明かし、共に更生の道を目指す。社会のあるべき姿を見た気がした。(釜)