石見神楽で有名な演目・大蛇(おろち)の「姫取りの場面」は姫が大蛇に襲われ、いつ見てもギョッとする。姫を演じるのが男性と知った時、少しショックを受けたのと「神楽は男がするもんだ」と教わったのを覚えている。神事に根差す神楽に宗教的理由があり、男性が担うと思い込んだ▼そのうち違和感を覚えた。笛や太鼓を担当する奏楽の女性は目にしたし、神楽ではないものの、多くの神社で巫女(みこ)が舞っている▼調べると、女性の舞は禁じられていないようで、備中神楽(岡山県)など他県も同様だった。それどころか過去に女性だけの団体もいくつかあり、地元の敬老会などで活躍。今と比べ、団体が他地域に出掛けて舞う機会は少なく、交流や情報発信の意識もあまりなかった。女性神楽は知る人ぞ知る地域限定の存在だったのかもしれない▼女性が舞ったのは出稼ぎによる男性不在、過疎化といった社会事情も絡んで明るい理由ばかりではなかったが、幼い頃から神楽に親しみリズムを体に刻み、舞いたかった女性が昔から多かったことを示す▼今春、浜田市で女子神楽同好会舞姫社中が結成されたのを機に、本紙で連載企画「舞う女たち~石見神楽の新展開」を始め、23日に7回目を掲載した。舞と衣装制作の「二刀流」、防犯・交通安全の啓発に神楽を生かす警察官など、女性参入による動きもちらほら。われながら、企画タイトルにほくそ笑む。(板)