「先行している他プラント(原発)より充実した内容になった。スムーズな審査をお願いしたい」。2013年のクリスマスの日。当時副社長だった中国電力の清水希茂社長が東京都内の原子力規制委員会で発した言葉を記事にした。島根原発2号機の再稼働に必要な審査を申請した直後のことだ▼あれから7年9カ月。清水社長の自信に満ちた発言は夢物語となった。審査は敷地近くの「宍道断層」の長さを巡る議論が長期化。安全性の向上を追い求める姿勢が不十分だと指摘され、再調査や再説明を繰り返し求められた。その結果、後発組の東海第2原発(茨城県)や女川原発2号機(宮城県)にも追い抜かれた▼福島第1原発の事故後にできた規制委の審査は、断層の評価や安全対策が対象の「原子炉設置変更」、詳細設計をチェックする「工事計画」、運用管理を確認する「保安規定」の3本立て。島根2号機が今月15日に合格したのは最も基本となる原子炉設置変更の審査で、残る二つはこれから本格化する▼関係者によると、審査は今後も1年程度かかる。原発を再び動かす「適格性」の有無の見極めを含め、ヤマ場は残る▼山陰両県で再稼働の可否に関する議論が始まり、住民説明会も立て続けに開かれる。だが、腰を据えてじっくり考えよう。どんなに急いでも全ての審査が終わるまで原発は動くことがないのだから。焦る必要はない。(文)