新商品のレトルトカレーとポタージュを説明する山口厳雄工場長=江津市桜江町長谷、石見麦酒
新商品のレトルトカレーとポタージュを説明する山口厳雄工場長=江津市桜江町長谷、石見麦酒

 地ビール製造の石見麦酒(江津市桜江町長谷)が、江津市産の豚肉などを具材に使ったレトルトカレーを商品化した。地ビールの副原料に使ってきた地元産品の活用をさらに広げるため、新規分野としてレトルト食品の展開を決めた。規格外品を使うなど生産者の困りごと解決の取り組みを強めながら、新たな収益の柱を育てる考え。

 新型コロナウイルス禍で飲食店での酒類提供が制限され、2022年4月期の地ビールの売り上げは前期比横ばいの約4千万円となる見込み。

 これまで地ビールの副原料にはユズやハッサクなど島根県西部の産品を積極的に活用してきたが、使用できる量や種類に限界があった。地ビールに続く新しい商品を模索する中、レトルト食品であれば肉や野菜など食材活用の幅を広げられると考えた。

 醸造所の2階を改修し、小型レトルト殺菌機と真空包装機を各1台導入。9月中旬に製造免許を取得し、試作を重ねた。

 スパイスカレーは、江津市産の豚肉「江津まる姫ポーク」とイノシシ肉、大田市産の鶏肉「銀山赤鶏」を、それぞれメインとした3種。益田市産エリンギ、浜田市産トマトなどの野菜も入れ、自社醸造の地ビールや果実酒で煮込んだ。200グラム入り各750円。

 来年1月上旬の予定で、野菜のポタージュ(150グラム入り400円)の3種も同時に発売する。同社のネット通販や県西部の道の駅などで扱い、23年4月期に1千万円の販売を目指す。OEM(相手先ブランドによる生産)も1ロット30食から受託する。

 山口厳雄工場長(44)は「規格外品や出荷時に切り落として食用にならないものは数多くある。地域との共存共栄をより進めたい」と話した。 (村上栄太郎)