光条がよく見える月=2021年7月24日、三瓶自然館サヒメルの天文台で撮影(さつえい)
光条がよく見える月=2021年7月24日、三瓶自然館サヒメルの天文台で撮影(さつえい)

クレーター中心に広がる線

 月の表面には、すじのようなものがあります。肉眼(にくがん)では分かりづらいかもしれませんが、双眼(そうがん)鏡(きょう)を使えば、放射(ほうしゃ)状(じょう)に延(の)びる線がたくさん見えます。これを光(こう)条(じょう)といいます。

 光条はクレーターと呼(よ)ばれる円(まる)いくぼみを中心にして広がっています。一番見やすいのはティコというクレーターから延びる光条で、ほかにもコペルニクスなど光条を持つクレーターがいくつもあります。

 クレーターは、月に隕石(いんせき)がぶつかったあとです。その衝(しょう)突(とつ)のときに砕(くだ)けた物(ぶっ)質(しつ)が、飛び散ったものが光条です。

 光条があるクレーターは、10億年前から現在(げんざい)までにできました。10億年というとずいぶん昔ですが、多くのクレーターはおよそ40億年前にできましたから、それに比(くら)べれば新しいクレーターといえます。では、なぜ古いクレーターには光条がないのでしょうか。

 月には空気がないので、地球のように風も吹(ふ)かなければ、雨も降(ふ)りません。そのため、クレーターなどの月の地形は崩(くず)れにくく、ずっと残っているのですが、つねに宇(う)宙(ちゅう)から降り注いでいる放射線や細かなちりによって、表面を薄(うす)く覆(おお)っているだけの光条は少しずつ壊(こわ)され消えていくのです。

 ですから光条は、新しいクレーターの印といえます。特に目立つティコの場合は、1億年前にできたに過(す)ぎません。もしかしたら、月に大きな隕石がぶつかった瞬(しゅん)間(かん)を、当時地球にいた恐(きょう)竜(りゅう)たちが見ていたかもしれませんね。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)