<前回のあらすじ>石見神楽の継承に対する考え方を、浜田市内の社中代表に聞いた。
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1月23日午後、昼食を食べようとしていると、電話が鳴った。相手は「因幡麒麟(きりん)獅子舞の会」の金谷堅太郎事務局長(49)。「新型コロナウイルスの感染が広がっている。(浜田市に)訪問ではなく、オンラインの方が良いのではないか」と提案された。
正直、覚悟はしていた。山陰両県では年明けから感染が急拡大。鳥取県では県外移動の自粛が要請され、島根県では27日から「まん延防止等重点措置」が適用される事態となった。
交流会は、意見交換しつつ名刺交換や雑談をして、自然とつながりが生まれる姿が理想だった。ただ、会を予定する3月5日時点の感染状況は予想できない。「感染リスクを考えるとオンライン開催しかない」と形式変更を決めた。
●ノウハウ学ぶ
苦渋の決断をしたものの機材や形式などノウハウはない。ふと、鳥取県や鳥取市がオンライン会議をしているのを思い出し、交流会に協力してもらう鳥取市文化交流課の担当者に相談すると、姉妹都市とのオンライン交流会に携わったという松本圭一主任(41)を紹介してくれた。
1月28日、松本主任に事情を説明すると「よくあるのは、部屋と部屋をつなぐやり方」と教えてくれた。ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使い、パソコンにつないだウェブカメラで、互いの会議室の様子を中継。画面越しに意見交換を行う形式だ。今回の場合だと、鳥取市と浜田市に機材を用意した会場を設定。諸事情で来場できない人もオンライン出席できるように対応したい。
●有意義な会 目指す
当初、自分なりに考えたのは、ズームや通信アプリ「LINE(ライン)」のテレビ電話機能を使い、出席者がスマートフォンなど各自の端末で参加する方法だった。
しかし、松本主任に話を聞く中で断念した。機材やアプリをそろえるほか、途切れなく中継できる安定した通信回線が必要で、準備できない人が出る懸念があるためだ。「オンラインの方が手軽」。漠然とそんな印象だったが、意外と課題は多い。
麒麟獅子舞と石見神楽の両団体の事務局長に考えを伝え、意見交換の形式を説明する資料をメールで送った。オンライン開催に変更となったが、対面開催に劣らない有意義な会にしたい。実現までもう一踏ん張りだ。
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麒麟獅子舞編第11回は20日に掲載。交流会を前に準備が大詰めを迎えます。