にぎわう店内で客と語らう野本栄二さん(右から3人目)=島根県知夫村、レストハウス神島
にぎわう店内で客と語らう野本栄二さん(右から3人目)=島根県知夫村、レストハウス神島

 甘エビの頭部をスープの材料にする「海老(えび)そば」創始者で、ラーメン専門家として島根県知夫村(人口622人)に移住した野本栄二さん(55)=札幌市出身=が28日、同村の飲食店「レストハウス神島」で初めて出張営業を始めた。村の人口の1割を超える75人が訪れ、島内の飲食店では珍しい行列ができた。

 野本さんは札幌市で複数のラーメン店を経営し、新横浜ラーメン博物館(横浜市)のコンテストで準優勝した腕前を持つ。脳梗塞の発症をきっかけに2015年に店を譲渡し、開業を目指す人への講師などに当たってきた。

 ワカメなど海の幸が豊かな同村に魅了され、今年1月に移住。現在、特産のワカメを使った家庭向けラーメンの商品開発や、村内での店舗開店に向けて準備を進めている。

 名刺代わりに味わってほしいと、28~31日までレストハウス神島の厨房(ちゅうぼう)を間借りし「知夫里わかめ醤油ラーメン」など7種類のラーメン(各500円)を販売した。28日は午前11時半の開店前から客が集まり、すぐに27席の店内が満席となり、最大30分待ちの行列ができた。

 孫と訪れた近くの牧場経営、隠木哲朗さん(64)は「ラーメンは即席ばかりだったので、本当においしかった」と笑顔を見せた。野本さんは「多くの人に協力いただいた。地元の人に愛される店づくりをしたい」と意欲を見せた。
       (鎌田剛)