きょうは二十四節気の一つ「芒種(ぼうしゅ)」。稲や麦など穂の出る植物の種を蒔(ま)く頃を指し、「始まり」の季節をイメージさせる▼今年はたまたま6日になったが、6月6日はなぜか「始まり」を意識させる記念日が並んでいる。「楽器の日」「邦楽の日」「いけばなの日」…。いずれも「芸事の稽古始めは、6歳の6月6日にする」という昔からの習わしに由来している。室町時代に能を大成した世阿弥の著『風姿花伝』でも、習い事を始めるのは、数え年の7歳(満6歳)が最良と説いている▼片手で指を折って数を数える際、6は小指が立つ形になることから「子が立つのは6」と縁起を担ぎ、6歳の6月6日になったという説も。大喜利の答えのようで、クスッと笑える▼芸事とは異なるものの現在、各界で活躍する人たちにも当てはまるのか-。将棋の里見香奈女流四冠(30)が父や兄の影響で将棋を始めたのが6歳の頃。藤井聡太五冠(19)の始まりは祖母に盤駒セットを買い与えられた5歳、テニスの錦織圭選手(32)が初めてラケットを手にしたのも5歳だった▼自らを振り返ると遠い昔の話で、手遅れだと嘆く人も多いだろう。ただ、「学ぶのに歳(とし)を取り過ぎていることはない」という英語のことわざがあるように、今から趣味で始めるのも悪くない。きょうは「シニアピアノの日」でもあるらしい。66歳の6月6日に稽古を始めることを想定している。(健)