夫婦句集を発刊した服部康人さん、照美さん=島根県邑南町矢上
夫婦句集を発刊した服部康人さん、照美さん=島根県邑南町矢上

 島根県邑南町矢上の服部康人さん(87)と妻・照美さん(84)が、初の夫婦句集「佐比売野」を発刊した。俳句歴70年の康人さんにとっては集大成、夫の影響で8年前に筆を執った照美さんにとっては初めての一冊。人生の歩みや思いが詰まった1024句をまとめており、「夫婦で発刊できてよかった」と口をそろえる。 (糸賀淳也)

 康人さんは邑智郡内で1人しかいない正岡子規らが創刊した「ホトトギス」の同人で、地元や旅先での体験を詠む。現在、邑智郡3町で俳句を指導する一方、他の講師に学ぶ俳句の勉強会にも参加するなど意欲的に活動している。

 康人さんにとって3冊目となる今回の句集は、三瓶山麓の三瓶野の別称「佐比売野」から名付けた。夜の三瓶山では天と地で同じような涼しさに感じられたことを詠んだ「佐比売野の天地一となる夜涼」など関係する句も盛り込む。

 照美さんは康人さんが外で働く中、畑を耕してきた日常から見た景色を詠んだ「生活を菜園に生き豆の花」など、268句を収録。夫の姿を見て70代になって挑戦して以来、「(日々)何か俳句にならないかなと思う」と没頭しているという。

 「うまく表現できた時はうれしい」と俳句の魅力を語る康人さんは、今後も夫婦で喜びを共有するつもりだ。句集はA5判352ページ。300部を刷り、県内外の図書館や町内の公民館に寄贈した。