管楽器リペアマン
板持 信也さん(出雲市渡橋町)
「演奏者(えんそうしゃ)が吹(ふ)きやすい楽器にしてあげるよう努めています。誰(だれ)からも信頼(しんらい)される管楽器リペアマンになりたい」-。リペアマンは、音が出なくなったり、音程(おんてい)が狂(くる)ったりした楽器の修理(しゅうり)、調整を専門(せんもん)にする人です。出雲(いずも)市渡橋(わたりはし)町のアツタ楽器で管楽器を担当(たんとう)している板持信也(いたもちしんや)さん(49)は「子どもたちの練習環境(かんきょう)を保(たも)ち、楽しく音楽ができるようお手伝いをする、やりがいのある仕事です」と話します。
管楽器には木管楽器と金管楽器があり、それぞれ種類や音色、音が出る仕組みと部品の数もさまざま。例えば、木管のアルトサックスには約600個(こ)もの部品が使われています。よく壊(こわ)れるのが、「タンポ」と呼(よ)ばれ指の代わりに管体の穴(あな)をふさぐ消耗品(しょうもうひん)で、変色したり硬(かた)くなったりすると音色が悪くなり、破(やぶ)れると音が出なくなることもあります。
しかも、楽器は繊細(せんさい)で、同じ楽器でも一つ一つ微妙(びみょう)に音の調整が必要。人によって音の出し方も違(ちが)うので、楽器の特性(とくせい)や素材(そざい)への知識(ちしき)と確(たし)かな技術(ぎじゅつ)が求められます。
板持さんは高校卒業までに吹奏楽(すいそうがく)やギター演奏(えんそう)をしていましたが、就職(しゅうしょく)するまでリペアマンの仕事を知りませんでした。アツタ楽器に入社して間もない頃(ころ)、リペアマンの「魔法(まほう)を見るような」見事な仕事ぶりに憧(あこが)れを抱(いだ)き、大手楽器メーカーが設(もう)ける専門学校へ。1年間リペアの基礎(きそ)を学びました。
楽器のトラブルが起こりやすいのが、コンクールの当日。リハーサル後の移動(いどう)中につまずいて壊れることもあり、実際(じっさい)、本番10分前に音が出なくなった楽器を直した経験(けいけん)も。板持さんは「楽器が直り『ありがとう』と言われた時が一番の喜(よろこ)び。反対に直せず本番に間に合わなかった時が一番つらい」とも。
リペアマンになって約30年。「いい職業に巡(めぐ)り会え、たくさんの友達もできた」と話しました。
みなさんへ
皆(みな)さんがこれから経験(けいけん)するたくさんの出来事(できごと)の中に、自分の将来(しょうらい)につながるものが必ずあると思っています。苦手(にがて)なこともあるかもしれませんが、いつかきっと自分に合ったすてきな仕事に出合えると思うので、さまざまなことに興味(きょうみ)を持って、どんどんチャレンジしていってほしいです。