研究室で鑑定資料の分析に取り組む鑑定技術職員の岩谷有希菜さん=松江市平成町、島根県警察本部科学捜査研究所
研究室で鑑定資料の分析に取り組む鑑定技術職員の岩谷有希菜さん=松江市平成町、島根県警察本部科学捜査研究所
人の骨の模型を前にする岩谷有希菜さん。「自分の鑑定した結果が事件の解決につながるとうれしい」と話す=島根県警察本部科学捜査研究所
人の骨の模型を前にする岩谷有希菜さん。「自分の鑑定した結果が事件の解決につながるとうれしい」と話す=島根県警察本部科学捜査研究所
研究室で鑑定資料の分析に取り組む鑑定技術職員の岩谷有希菜さん=松江市平成町、島根県警察本部科学捜査研究所
人の骨の模型を前にする岩谷有希菜さん。「自分の鑑定した結果が事件の解決につながるとうれしい」と話す=島根県警察本部科学捜査研究所

科学捜査研究所鑑定技術職員
岩谷 有希菜さん(松江市平成町)

 警察官(けいさつかん)が事件(じけん)や事故(じこ)の現場(げんば)で採取(さいしゅ)した証拠物(しょうこぶつ)を、専門知識(せんもんちしき)を生かし科学的に調べているのが科学捜査(そうさ)研究所(科捜研(かそうけん))の鑑定技術(かんていぎじゅつ)職員(しょくいん)。島根県警察本部の科捜研(松江(まつえ)市平成(へいせい)町)で法医科(ほういか)主任(しゅにん)研究員を務(つと)める岩谷(いわたに)有希菜(ゆきな)さん(35)は「自分の鑑定した結果が事件の解決(かいけつ)につながるとうれしい」と、やりがいを話しています。

 法医科は、血液(けつえき)や唾(だ)液、毛髪(もうはつ)、骨(ほね)や顔など人の体に関係した資料(しりょう)を、生物学を応用(おうよう)して鑑定します。

 DNAを調べる時は、岩谷さんは防塵(ぼうじん)用の白衣を着てキャップをかぶり、手袋(てぶくろ)も2枚(まい)重ねにして研究室に入ります。証拠物以外の髪(かみ)の毛などが混(ま)じり判定(はんてい)結果に影響(えいきょう)が出ないようにするためで、机(つくえ)の上や使う器具も常(つね)にきれいにしています。「DNA型(がた)鑑定は非常(ひじょう)に繊細(せんさい)なので、汚染(おせん)することがないように細心の注意を払(はら)っています」

 これまでに担当(たんとう)した事件で思い出深いのが、入所2、3年目にあったおしっこの不法投棄(とうき)事件。袋詰(づ)めし捨(す)てられていた大量の液体が何かを詳(くわ)しく分析(ぶんせき)し、捨てた人物の割(わ)り出しにつながりました。

 科捜研は、全国47都道府県の各警察本部にあります。専門職となる鑑定技術職員は、自分が志望(しぼう)する都道府県で毎年募集(ぼしゅう)があるわけではありません。

 岩谷さんは千葉県出身。大学で臨床(りんしょう)検査(けんさ)技師(ぎし)の資格(しかく)を取るための勉強をし、病院への就職(しゅうしょく)を目指していましたが、海外のテレビドラマを見て科学捜査の仕事があるのを知り、当時募集があった島根県の鑑定技術職員を志(こころざ)しました。

 鑑定結果は事件の捜査や裁判(さいばん)の証拠にもなります。責任(せきにん)の重い仕事だけに「公平中立の立場で、先入観(せんにゅうかん)を持たず真摯(しんし)に取り組むことを心がけている」と岩谷さん。「鑑定技術の仕事は縁(えん)の下の力持ち的な仕事。これからも知識を深め、多様化する事件の解決へつなげたい」と話します。

みなさんへ
 縁(えん)もゆかりもない島根に就職(しゅうしょく)する時に不安もありましたが、科学捜査(そうさ)の仕事ができるという、憧(あこが)れの気持ちが後押(あとお)ししてくれました。みなさんも、やりたいことが見つかっていたら果敢(かかん)に挑戦(ちょうせん)し、まだの人はこれからいろいろなことを学んでいく中で見つかるので、ぜひ頑張(がんば)ってほしいですね。