ラストランで、多くのファンに見守られながらJR出雲市駅を出発する寝台特急「出雲」=2006年3月17日
ラストランで、多くのファンに見守られながらJR出雲市駅を出発する寝台特急「出雲」=2006年3月17日

 先日、民放ラジオでJRのホームでの列車接近音や車内チャイムの話題を放送しており、興味深く聞いた▼リスナーから、米子駅のホームの列車接近音に「Official髭男dism(オフィシャルヒゲダンディズム)」を取り入れてほしいとの声があった。実現の可能性の有無は分からないが、岡山の津山駅と「B’z(ビーズ)」(ボーカル稲葉浩志さんの出身地が津山市)の例もあり、賛同する。旅の思い出として心に残るだろう▼当方はいわゆる「音鉄」(鉄道に関する音を収録して楽しむ人)ではないが、こうした音が過去の人生を振り返る際の呼び水になっている。子どもの頃に乗った東京、大阪行きの寝台特急列車の車内チャイムは、見知らぬ場所へ行くのだというわくわくした気持ちにさせてくれた▼音鉄は承知のことだが、その曲名がオランダの作曲家による「ハイケンスのセレナーデ」であることを、ラジオ番組で初めて知った。フル演奏で曲が紹介され、長年の謎が解けたようでうれしかった▼大雨の中で迎えたコロナ禍3度目の夏休み。政府は現段階で行動制限は求めない方針を発表した。感染の「第7波」は学校で広がりを見せ、休み中も外出が難しい子どもたちは少なくない。ただ、できる範囲で遊びや旅を通じて五感を使って思い出づくりをしてほしい。駅のホームや列車内での何げない音もその一助となるに違いない。(万)