4月30日、ウクライナ東部ドネツク州で、ミサイル攻撃を受けた建物の周辺を調べるウクライナ兵ら(ロイター=共同)
4月30日、ウクライナ東部ドネツク州で、ミサイル攻撃を受けた建物の周辺を調べるウクライナ兵ら(ロイター=共同)
ウクライナの首都キエフで、シェルターとして使われている地下鉄に避難した人たち=3月2日(AP=共同)
ウクライナの首都キエフで、シェルターとして使われている地下鉄に避難した人たち=3月2日(AP=共同)
4月30日、ウクライナ東部ドネツク州で、ミサイル攻撃を受けた建物の周辺を調べるウクライナ兵ら(ロイター=共同)
ウクライナの首都キエフで、シェルターとして使われている地下鉄に避難した人たち=3月2日(AP=共同)

 ロシアによるウクライナ侵攻を受けて北欧フィンランドとスウェーデンが申請していた北大西洋条約機構(NATO)への加盟が決まった。伝統的な中立政策からの転換で、欧州の安全保障秩序が様変わりする▼驚いたのは申請した際の報道で知った両国の人口当たりの「核シェルター」普及率。共に7、8割で、フィンランドでは一定規模以上の建物には設置が義務付けられているという。NATO加盟によって抑止力を強化するのがプランAなら、それでも駄目な場合のプランBがシェルターなのだろう▼ウクライナのニュース映像でも、街並みがほぼ壊滅した都市で住民が地下のシェルターや地下鉄の駅などで避難生活を送っていた。もし日本がそんな事態を迎えたら、どこに避難するか。政府の「国民保護ポータルサイト」にある武力攻撃の際の避難先を確認すると、大半が自然災害の場合と同じ学校や公民館など。これで本当に大丈夫なのかと思う▼日本はこれまで「戦争をしない」前提で社会資本を整備してきたせいか「核シェルター」は皆無に近い。いわば「国民が生き延びる」ためのプランBのコストを最少にすることで、経済成長による平和の恩恵を享受してきたとも言える▼厳しさを増す国際情勢を理由に防衛力を強化するプランAを拡充するつもりなら、最悪の事態に備えるプランBの方も、もう少し本気で考えるべきではないか。(己)