実験のため、事件当日に駐車した場所に移された通園バス=14日、静岡県牧之原市
実験のため、事件当日に駐車した場所に移された通園バス=14日、静岡県牧之原市

 「また…」。静岡県牧之原市の認定こども園で3歳女児が通園バスに置き去りにされ、熱中症で死亡した事件。胸がつぶれる思いと同時に、昨年7月、福岡で同様の事件が起きていたのになぜ?という怒りに似た思いがこみ上げてきた▼静岡の女児は発見時、上半身の服を脱ぎ、持っていた水筒は空っぽだったという。40度を超えた車内で、暑さと寂しさに耐え、生きようとした姿を思うとやりきれない▼昨年、福岡県中間市で5歳男児がバスに取り残されて亡くなった保育園では、園児の置き去り事案が何度もあったという。全国各地の幼稚園、保育園でも通園バスに園児を取り残す事案が続発していたとも▼今回の事件を機に保護者の間では、クラクションを鳴らし存在を知らせる方法をわが子に教えることが話題になっている。普段はクラクションを押してはいけない、と教えられていて戸惑う子どもも多いだろう。小さい子どもの力では鳴らないこともありそうだ▼はるか昔のことだが、わが家の子どもは車に乗るとすぐに眠ってしまった。ちょっとやそっとでは起きない。「降りるよー」と声かけしても届かなかった。通園バスへの安全装置設置や登園管理システム導入もいい。二重、三重のチェックをしてほしい。人手不足解消とセットで、という声もある。二度と犠牲者を出さぬよう、行政も含めて関係者が早急に本気で取り組んでほしい。(富)