ラーメンには不思議な力がある。糖質や塩分の多さが気になるのに、なぜか昼夜を問わず、無性に食べたくなる。一説には日本人で最初に食したのは水戸黄門(光圀)だとか。325年たった今も多種多彩な味が老若男女を魅了する▼そんな「国民食」に目を付けた国会議員たちが今春、ラーメン文化振興議員連盟なるものを立ち上げた。会長は石破茂衆院議員(鳥取1区)。各地のラーメンの魅力を国内外に発信して人を呼び込み、地方創生を目指すらしい▼パフォーマンスに過ぎないとの見方があるのはさておき、確かに日本には風土や歴史と結びついた特色豊かなご当地ラーメンがいくつも存在する。札幌、喜多方、尾道、博多…。挙げればきりがないが鳥取が誇る牛骨ラーメンこそ、もっと注目されていい▼豚骨でもなく、鶏がらでもなく、牛の骨でスープを取った異色のラーメンが世に知られるようになったのは十数年前。地元では70年以上愛され続けてきたものの、どこの店主も客も当たり前の味すぎて、外に売り込む発想がなかったというのが面白い。大山で国内最大の牛馬市が営まれ、牛骨が新鮮かつ安価で入手できたという歴史的な背景も興味をそそる▼鹿児島県できょうから、5年に1度の和牛のオリンピック「全国和牛能力共進会」の審査が本格化する。ぜひとも上位に入り、肉も骨もうまい鳥取の牛の存在を全国に知らしめてほしい。(文)