益田市の官民組織が発行したカードの一部=同市常盤町、市役所
益田市の官民組織が発行したカードの一部=同市常盤町、市役所

 日本遺産に認定された益田市のストーリー「中世日本の傑作 益田を味わう」の構成文化財全26種類を紹介するカードを、地元の官民組織が作った。各文化財への理解促進とともに、周遊を促すことを目的とした初の試みで、市内6カ所で配布している。 (中山竜一)

 構成文化財は中世に益田を治めた領主益田氏や、室町時代に益田を訪れた画聖・雪舟ゆかりの寺院のほか港湾遺跡、城館跡、匹見の山林、高津川水系のアユなどで、益田の魅力を多面的に紹介している。

 製作した「歴史を旅する、益田の日本遺産カード」は縦8・8センチ、横6・3センチで構成文化財の名称や写真、所在地、説明文を掲載。QRコードも付け、スマートフォンで読み取ると所在地が示される。

 配布場所は市立雪舟の郷記念館(乙吉町)、万福寺(東町)、医光寺(染羽町)、県立石見美術館(有明町)、美都温泉湯元館(美都町宇津川)、匹見峡温泉やすらぎの湯(匹見町匹見)の6カ所。

 カードの図柄は場所ごとに決まり、雪舟の郷は最多の7種類、万福寺、医光寺、石見美術館、美都温泉が各4種類、匹見峡温泉3種類。それぞれ2千枚を印刷した。11月から各場所を有料で入館、拝観、入浴した人に限り配布し、なくなり次第終了する。

 配布場所で専用の台紙にスタンプを押し、全部集めて市観光協会(駅前町)に提出すると27枚目のコンプリートカードがもらえる。裏返しにして、全種をジグソーパズルのように組み合わせると、最終的な図柄が完成する趣向だ。

 益田の歴史文化を活(い)かした観光拠点づくり実行委員会が製作し、事務局を務める益田市連携のまちづくり推進課日本遺産推進室の島田雅史主任は「構成文化財を知らない人も多いと思う。歴史を旅する気分で集めてもらい、理解を深めてほしい」と話している。