今年も残り24時間を切った。年を重ねるごとに一年が短くなる気がする。できれば年内に片付けたい、けりをつけたい、と思っていたことが、また積み残しになってしまった▼この「けりをつける」という言い方は、短歌や俳句の末尾などに使う「けり」から派生したそうだ。正岡子規にも「いくたびも雪の深さを尋ねけり」の句がある。おなじみの「色男金と力はなかりけり」は川柳がルーツとか▼さて2022年を振り返ると、けりをつけたかったことだらけだ。まずはロシアによるウクライナ侵攻。その影響で電気もガスも食料品も値上がりした。次は丸3年近くになるコロナ禍。「ウィズコロナ」で進むせいか国内の年間死者は既に3万9千人に迫った▼政界では安倍晋三元首相銃撃をきっかけに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題が発覚。閣僚の「辞任ドミノ」の発端になった。東京五輪を巡る汚職も広がりを見せた。さらに少子高齢化や国際情勢を背景に、さまざまな負担増も待ち受ける▼新しい年の干支(えと)は「癸卯(みずのとう)」。前回1963年はキューバ危機の翌年で、ケネディ米大統領の暗殺があった。その前の「癸卯」は日露戦争の前年。このため道筋を誤らないよう注意は必要だが、「寒気が緩み、萌芽(ほうが)を促す年」との見立てもある。除夜の鐘とともに、ここは心機一転。数々の難題にけりをつける「希望の芽」を育てていきたい。(己)