鳥取市民のソウルフード「亀井堂のサンドイッチ」や「すなば珈琲(コーヒー)」のコーヒーを味わって犯罪被害者支援に貢献する仕組みができた。売り上げの一部をとっとり被害者支援センター(鳥取市西町1丁目)に寄付する方法で、支援活動を知った製パン業の亀井堂(同市徳尾)が発案。すなば珈琲の運営会社スナバカンパニー(同市末広温泉町)も賛同した。関係者は、市民に親しまれる両社を皮切りに善意の輪の広がりを願う。 (岸本久瑠人)
同センターは犯罪被害者やその親族らを対象に電話や訪問での相談、警察や検察といった関係機関への付き添いなどの支援を行う。
2019年度の収入は3035万円。行政からの補助金や賛助会費、寄付で成り立っている。弁護士への相談費用の肩代わりや、付き添いのための交通費に充てるほか、相談に対応する支援員の研修や広報チラシ作成にも経費がかかり、支援を広げるためにもさらなる財源確保が必要だった。
知人から同センターのことを聞いた亀井堂の地原忠実社長(67)は「何か継続的に協力できることはないか」と思案。鳥取県内に、売り上げの一部をセンターに寄付する自動販売機があることを思い出し、自慢のパンを生かした取り組みを2月に始めた。
耳付きの食パンにいちごジャムとピーナツバターをはさんだ看板商品「サンドイッチ」(210円)が対象商品で、本社併設の直営店で1個売れるごとに4円を寄付する。意気に感じた市民から「町内会の集まりで使いたい」との声もあるという。地原社長は「支援活動の後押しになってほしい」と期待する。
県外客も多いすなば珈琲は4月に始めた。新鳥取駅前店(鳥取市栄町)とアートプレイス(同市尚徳町)でスペシャルブレンド(440円)など4点を対象に1杯につき3円、年間推定20万円の寄付を見込む。タブレット端末のメニュー表には、寄付の趣旨を紹介するページを設けている。
支援センターの森山慎一事務局長(65)は広報活動や支援員の研修などに浄財を充てる考えで同様の寄付の広がりを期待。「被害者に寄り添った支援をしていきたい」と活動に意を新たにした。