新型コロナウイルス感染拡大で、岡山県がまん延防止等重点措置を要請した12日、観光やビジネスで関係が深い山陰両県にも衝撃が走った。首都圏や関西からの客が減り、山陽の比重が高まっていただけに観光施設は影響を懸念。交流する県民は、往来を阻むコロナ禍に「我慢」を口にした。

 皆生温泉の皆生菊乃家(米子市皆生温泉4丁目)は4月の宿泊客の16%が岡山県からで、県別の最多。大型連休中も緊急事態宣言下の首都圏や関西の客より山陽の客が多かった。

 今のところキャンセルなど目立った動きはないものの、柴野憲史社長は「近隣の中でもお客さまが多い地域。予約に影響が出るのではないか」と案じた。

 建築デザインを手掛けるエフ・エス・デザイン(松江市東朝日町)の和田雄介社長は、アンティーク家具などの買い付けで半年に1~2回は岡山県へ出向くが「当面は自粛することになりそうだ」。

 倉敷商店街振興連盟(岡山県倉敷市)と「姉妹商店街」の倉吉銀座商店街振興組合(倉吉市)は、提携イベントが開けず、もどかしい状態が続く。小林健治理事長は「今は耐えるしかない。いつか倉吉と倉敷を元気づけられるイベントを起こせるよう頑張りたい」と歯を食いしばった。

 倉吉市や鳥取県江府町と接し縁が深い蒜山高原(岡山県真庭市)は瀬戸内側ほど感染が広がっていない。ヒルゼン高原センター・ジョイフルパークの樋口昭文取締役支配人は「『岡山県』とひとくくりに捉えられ、来園者が減る」と先行きの厳しさを見通した。(取材班)