読解力重視から論理的思考力や表現力の育成へ―。高校の国語教育改革を盛り込んだ新学習指導要領が2022年春、スタートした。その方向性にはしかし、疑問や異論もくすぶる。日本語の未来を担う国語教育はどこへ向かうのか。

◆紅野 謙介さん(日本大文理学部特任教授)

生きている言葉の獲得を 小説や詩歌 極めて有効

 ―「国語教育 混迷する改革」などの本を出版し、国語教育の改革に疑問や危機感を表明してきた。何が問題なのか。

 「国は、高校と大学、その両者をつなぐ大学入試の三位一体の改革を目指している。新学習指導要領を踏まえた大学入学共通テストは2025年から始まるが、実用文や評論など文学以外の設問の比率が高くなる。これは新学習指導要領の方向性とも...