1月23日に通常国会が始まった。岸田文雄政権は、子育て支援を最重要政策とすると表明。少子化対策の主な柱は1児童手当などの経済的支援の強化2産後ケア、保育などの支援の拡充3働き方改革─の三つとなる見通しだ。政府は3月末をめどに具体策のたたき台を取りまとめ、6月の「骨太の方針」までに、子ども予算倍増の道筋が示されるとしている。

 児童手当に所得制限があることが「子育て罰だ」と揶揄され、手当拡充が図られようとしているが、月数千円から数万円の児童手当が増えたからといって、子どもが増えるだろうか。少子化の最大の原因は、雇用の劣化にあると筆者は見る。

 バブル崩壊前の1990年の労働者に占める非正規雇用の割合は約2割だった。それが今では約4割という事態に陥っている。非正規社員は数カ月単位、1年単位での契約の更新であることが多く、ボーナスが出ても決して多くはない。退職金が出るケースも多くはない。

 社会保険料の負担や固定費増を嫌う企業は、法制度の網の目をすり抜ける。業務請負契約にすることで社会保険の加入が避けられるため、ウーバーイーツなどをはじめ、業務請負で働く人が増えているが、社会保険がかけられないまま事故や病気になれば、生活が立ち行かなくなりかねない。そうした雇用や収入の不安がある中では、子どもを諦めざるを得なくなる。

 非正規雇用の増加が日本の成長を止め、...