中学校の定期テストの問題を集めて保管し、「過去問」として生徒に解かせる指導が福岡県内の複数の学習塾で常態化している。多くの中学が毎年、同じか似た問題を出す上、点数が内申点に反映され、高校入試の結果に影響する仕組みが背景にある。問題や正答を生徒が丸暗記する恐れもあり、識者は「本当の学力が身に付かない」と懸念する。(西日本新聞・小林稔子)

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 福岡市の塾。学校名が記されたファイルの表紙を開くと、定期テストの過去問が「1学期末」「2学期中間」などと分類されてつづられていた。国語、数学、理科、社会、英語の入試5科目だけでなく、普段は塾で教えない音楽、美術、技術・家庭、保健体育の実技4科目も収録する。

 「生徒を通じて、過去問と学校作成の解答集を20年以上集めている」。教室長は語った。生徒には定期テスト前の自主学習として解かせている。丸暗記は「させていない」と言う。

 記者が確認したところ、他にも福岡県内の複数の塾が同様に過去問を収集し、定期テスト対策に活用していた。「入試に向けて内申点を上げる必要がある」「保護者が要望している」。塾側は口をそろえた。

 福岡県教育委員会によると、同県の公立高の一般入試は、...