将棋の藤井聡太王将=竜王・王位・叡王・棋聖との五冠=(20)に羽生善治九段(52)が挑む、第72期王将戦7番勝負第5局の最終日が26日、大田市三瓶町の国民宿舎さんべ荘であり、先手の藤井王将が101手で羽生九段を破り、3勝2敗で初防衛に王手をかけた。
【ドキュメント王将戦】 藤井五冠VS羽生九段 王将戦第五局 藤井五冠が勝利し防衛に王手、両雄は勝負メシに何を選んだ!?
将棋ファンに限らず社会的な関心を集める新旧王者対決。最終日は藤井王将が王手をかけた状態で羽生九段の封じ手が開けられ、注目の一手は玉が浮く危険な受け。流れをつかんだ藤井王将が攻勢を強め迫った。
羽生九段は守りを固めて決め手を与えず、反撃機をうかがった。我慢が実り藤井王将の攻めが止まった瞬間、相手玉に迫る強手。往年の「羽生マジック」を思わせる柔軟な守りの好手もあり、逆転したかに見えたが、藤井王将の力強く正確な寄せに押し切られた。
局後、両対局者はさんべ荘内の大盤解説会場に登壇し、詰めかけた150人の来場者に大きな拍手で迎えられた。羽生九段は「終盤はどこかで間違えた気がする。次に集中したい」。藤井王将は形勢がきわどく、薄氷を踏む勝利だった心境の表れか「失敗していると思った。次局も精いっぱい頑張りたい」と話した。
大盤解説会は里見香奈女流五冠(30)=出雲市出身=も登場し局面解説。女流棋士になりたての頃、羽生九段と一緒にタクシーに乗り、車内で棋譜を見てもらった逸話などを披露し会場を盛り上げた。解説会に参加した山口県宇部市の公務員、中野弘子さん(41)=山口県宇部市=は「中身の濃い将棋だった」と第5局を振り返った。
第6局は3月11、12日に佐賀県上峰町の大幸園で指される。