新型コロナウイルスのワクチンを巡り、雲南市の石飛厚志市長(54)と吉山治副市長(62)が優先対象に当たると判断し、接種を受けていたことが17日分かった。市は、ともに行政運営や接種業務を管理する職務上、必要だと説明。島根県津和野町の島田賢司副町長(61)が高齢者向けのキャンセル分で打ったことも判明した。

 石飛市長と吉山副市長は4月28日に医療従事者向けのワクチン接種を受けた。

 石飛市長は取材に対し、上京や県外の人と会う機会が多いとし「自身が感染し、市政に与える影響を考慮した」と説明。副反応を懸念する市民の不安払しょくにつなげる狙いもあり、市内の接種状況を見ながら公表する予定だったとした。

 医療従事者向けを使ったことについては「医療現場で動くこともあり、医療従事者の一員として受けさせていただいた」と話した。石飛市長は雲南市立病院の開設者。

 津和野町によると、島田副町長は5月12日に高齢者接種で取りやめが発生したことを受け、打った。

 同月中に県外出張の予定があるためで、下森博之町長(55)は接種を受けていない。

 厚生労働省によると、優先接種に該当する医療従事者の対象は、実施主体の自治体の裁量で選定。

 余剰分については破棄を避け、自治体が取り扱いを検討することを求めており、田村憲久厚生労働相はいずれの場合も「住民に説明がつく対応をしてもらいたい」と話している。

 山陰両県では鳥取県伯耆町の森安保町長(63)と阿部泰副町長(66)が、高齢者のキャンセル分の接種を受けたことが明らかになっている。

 (清山遼太、中山竜一)