農林水産省では、食料・農業・農村基本法の検証を進めており、筆者も審議会委員として議論に参加している。さまざまなテーマが取り上げられており、その一環で農産物の価格のあり方にも焦点が当てられている(審議会の資料や議事録は公開されているので、他のテーマを含めてご関心のある読者の方は農林水産省のウェブサイトをご参照いただきたい)。
農産物の価格については、農業者側からの視点と消費者側からの視点の双方を考慮する必要がある。安すぎると農業者の収入が減り、高すぎると消費者の負担感が高まるため、何が〝適正〟かの判断は非常に難しい。今回は、目下価格高騰が顕著な鶏卵を題材に取り上げよう。現在の鶏卵価格の高騰要因は大きく2点ある。一つ目が、鳥インフルエンザによる供給不足である。1600万羽(2023年3月15日時点)を超える鶏が殺処分となったため、鶏卵の供給量が大きく減少している。そして二つ目が飼料価格や燃料価格の高騰による生産コストの高騰である。気候変動による不作、新興国の需要増加などの影響を受けて、国際的な穀物価格が上昇しており、特にわが国においては円安の影響もあり飼料価格が高騰している。
多くの鶏卵農家が収入減少に苦しむ一方で、...
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