いつもとは違うスーツ姿が、やけに新鮮に映った。競泳女子で東京五輪代表の池江璃花子選手(22)。日大を卒業し、新たな所属先として横浜ゴムと契約を結んだ▼先月の発表会見では、名刺を模したパネルを手に「水泳選手としても、社会人としても成長していけるように頑張りたい」と笑顔。社会人として来年のパリ五輪を目指す傍ら社業にも携わる意向で、広報室に配属された▼きのうは山陰両県でも多くの企業で入社式が行われた。大卒なら多くが池江選手と同年代。新聞社でも7人の新しい仲間を迎えた。「小さな情報でも地域の魅力を伝えたい」「学んできた水産業で山陰の振興に役立ちたい」…。緊張しつつも力強く決意を語る姿を頼もしく思った▼新聞社に限らず、新社会人にはミスや挫折がつきもの。三十数年前のわが身を振り返っても、上司や先輩に迷惑をかけた記憶しかない。「自分は向いていないのかな」。そんな不安や悩みを癒やしてくれたのが同期の仲間だった▼白血病の治療中に大学に入り、支えてくれた仲間と学生選手権へ出場するため、苦しい治療とリハビリに耐えた池江選手は仲間についてこう表現していた。「自分が調子いい時にだけ声をかけてくれるのは、当たり前であり、他人。自分が調子悪くて落ち込んでる時に近くにいてくれるのが仲間」。そんな仲間がいれば、悩みも乗り越えられる。頑張れ!新社会人。(健)